漫画のできるまで その9
2012-12-25



■トーンの指定表

デジタルのトーンを貼るとき、印刷された状態でないと密度などがわかりづらいので、印刷したサンプルを元に、貼るトーンを選んでいました。
その指定表がこれ。
これを見ながら、トーンの番号を指定して貼っていきます。

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一枚目の指定表の汚れは、311の地震のときのものです。
指定表の横にコーヒーを入れたカップが置いてあり、中身は半分も入っていなかったのですが、地震の揺れでこぼれていました。
それだけ大きな地震だったのだと、指定表を見るたびに、そのときのことが思い出されます。


■トーンの指定記録

連載では、キャラが何話にも渡って出てくるので、それぞれの登場シーンに貼ったトーンを記録しておきます。
各話ごとに、誰のきものに何番のトーンを貼ったのか、メモしておいたものをこうして書き出しておくわけです。
こうすることで、続きを描いたときや、回想シーンを描くときなど、困らないようにしていました。

時々メモするのを忘れて、困ることはありましたが(汗)。

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■ネームの一稿から

「漫画のできるまで」を、手順の流れでご紹介してきましたが、1ページの「できるまで」をまとめてみました。
「人妻編」コミックス8巻 132ページです。

ネーム一稿
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ネーム二稿
ページ配分やセリフが、ビミョウに違っています。
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ネーム
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下描き
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ペン入れ後
これは原稿のコピーなので、トーンの指定が色えんぴつで記入されています。
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完成
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こんな流れで漫画を描いていました。


■以上で「漫画のできるまで」は終わりです。
細かく書いていったら、なんだか長くなってしまいました。

漫画は人によって、描く方法や手順が違います。
最近ではデジタルで漫画を描く方も増えてきました。私のように半分デジタル、という場合や、最初から最後までフルデジタルという人もいて、それぞれがやりやすい方法で描いているのだと思います。

ここでは、私のやり方をご紹介しましたが、私個人でも、漫画を描きはじめた最初の頃からでは、描き方や手順が大きく変わりました。
ほんとうに初期の頃は、コマのワク線は「からす口」という製図道具を使ってひいていました。
毎回、この「からす口」を研ぐところからはじまるのですが、お習字で言えば墨をする行為にあたるような感じでした(笑)。
途中で「からす口」は「ロットリング」というものに代わり、今はコピックのマーカーになっています。

ワク線ひとつでも、長く描いているとより便利な道具、使いやすい道具へと変わっていくので、あと10年もすると、どれだけ違う道具を使っているのか、想像するとおもしろいですね。
10年前には、まさかパソコンを使って漫画を描くなんて、自分ではやらないと思っていましたし。

最後にマシンスペック(これはカラーの描き方のところでもご紹介しました)と、使っているアプリケーションソフトをご紹介しておきます。



パソコン 
iMac OS 10.5.8
Power Mac G4 OS 10.3.2

スキャナ 
EPSON ES-7000H

プリンター 

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